競輪データ解析

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機械学習を利用した車券購入シミュレーション・本命を買い続けると回収率はどうなる?

以前の記事で紹介した「本命選手ライン2名の2連対率・3連対率の予測モデル」の性能は概ね期待どおりでした。

過去記事「本命選手ライン2名の2連対率・3連対率の予測モデル」

www.ai-keirin.com

おさらいになりますが,この予測モデルは本命選手ライン2名の2連対確率・3連対確率の予測モデルということで車券の的中確率そのものを予測するモデルという見方ができます。

  • 本命選手ラインの2連対率…本命選手ラインの2車複車券が的中することと同義
  • 本命選手ラインの3連対率…本命選手ラインのワイド車券が的中することと同義

今回はこの予測モデルの的中確率予測値によって,本命車券を買い続けた場合に回収率・的中率・平均配当がどのように推移していくかを実際の競走データを使ってシミュレーションしてみます。

車券購入シミュレーション条件

対象レース…2012年1月1日~2017年12月31日

買い目…以下の3パターン

  • (1)本命選手ラインワンツーの2車複
  • (2)本命選手ラインワンツーの2車単(自力選手1着固定)
  • (3)本命選手ラインワンツーの3連単(自力選手1着固定・番手選手2着固定・3着全流し)

 

車券購入シミュレーション結果

以下に車券購入シミュレーション結果を掲載していきます。

的中予測値 vs. 対象レース数

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的中予測値 vs. 対象レース数

X軸は的中予測値(%),Y軸は対象レース数です。的中予測値10%以上のレースは78650レース,50%以上のレースは7536レース,70%以上のレースは359レースとなりました。 6年間の競走データなので的中予測値50%以上のレースは3.4レース/日程度あるようです。

的中予測値 vs. 回収率

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的中予測値 vs. 回収率

X軸は的中予測値(%),Y軸は回収率(%)です。的中予測値50%のときに2車複・2車単・3連単の回収率はそれぞれ87%・84%・78%,的中予測値60%のときに87%・85%・87%,的中予測値70%のときに94%・95%・100%弱となりました。的中予測値が高くなるにつれて回収率も上がっているのがわかりますが,回収率100%を超えることはできませんでした。

的中予測値 vs. 的中率

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的中予測値 vs. 的中率

X軸は的中予測値(%),Y軸は実際の的中率(%)です。機械学習モデルの的中予測値より実際の的中率が高い結果となりました。2車複においてモデルが40%で的中するよと言えば実際は50%で的中,60%で的中するよと言えば実際は65%で的中してる感じです。2車単の系列が消えてるように見えますが3連単の的中率と同じになるのでグラフが重なっているだけです。

的中予測値 vs. 平均配当

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的中予測値 vs. 平均配当

X軸は的中予測値(%),Y軸は的中時の平均配当(円)です。Y軸の主軸(左側の軸)は2車複・2車単の平均配当,第2軸(右側の軸)は3連単の平均配当となります。 機械学習モデルの的中予測値50%のときに2車複の平均配当は150円,的中予測値70%となると平均配当は120円まで下がってます。

 

機械的に本命を買い続けても勝てないが…

さて,結局この的中確率予測モデルを利用して本命を買い続けたところで回収率100%を超えることはできませんでした。ではこのモデルは使えないのか,また,このデータは使えないのか,と言うと実はそうでもなかったりします。今回の結果から分かることは「予測モデルの的中確率をもとに機械的に本命の2車複・2車単・3連単を買い続けても勝てない」ことです。 この結果を踏まえて次にとるアプローチがいくつか考えられます。例えば…

車券を買うレースを取捨選択する

2車複の場合を例にとります。
モデルの的中確率予測値50%のレースが複数個あった場合,その中から自分で最も的中させる自信のあるレースを選ぶということができます。 今回のシミュレーションデータにおいて,モデルの的中確率予測値より実際の的中率は高めに推移していますのでとりあえず全レース買っても半分以上は的中するベースがあります。そこにプラスαで自分の予想を盛り込むことでレースを取捨選択し,的中率を上げることができるかもしれません。配当150円・的中率50%で回収率75%です。この的中率を75%以上にしてやれば回収率は110%を超えます。逆に考えることもできて,本命のラインで決まらなそうな予感がするレースは車券を買うのを控えたり,穴狙いに切り替えるという手法も取れます。

3連単の3着を絞ってみる

シミュレーションデータにおいて3連単の3着は総流しで実行してます。これを総流しではなく1車削った場合だと回収率は94%,2車削った場合だと回収率は120%となります(いずれもモデルの的中確率予測値が50%のときの回収率データ)。

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3連単の3着を絞った場合の回収率の推移

実際の的中率が削る前と後で変わらないというミラクル条件での試算ですが,上手く3着を絞れば回収率は大きく上昇します。

本命を買うのをやめる

消極的ですがあきらめも肝心です。こういったデータ解析をしているとどうにかそれを使ってやろうとあれこれ考えてしまうことがありますが,今回の結果で見ると本命買いは回収率と言う点において不利な立ち位置です。 コンコルド効果とゼロベース思考というわけではありませんが,今回の買い方をやめるだけで回収率の低い車券を買わなくて済むわけです。更にレース展開を考える時間も車券を買う作業もなくなります。空いた時間と浮いたお金でコーヒーでも飲みましょう。

おわりに

予測モデルの的中確率をもとに機械的に本命を買い続けても回収率100%は超えませんでした。
しかし,今回お伝えしたかったことは実は別にあります。それは,

  • 機械学習やデータ解析を行うことで今まで見えてなかった部分や感覚的だった部分が定量的に見えてくる
  • データを解析していく中で,回収率や的中率に影響するファクターを探索し,車券戦術に組み込むことで回収率を高めることができる

という点です。
今回は機械学習の予測モデル・車券の買い目ともに本命選手のラインワンツーを対象とした比較的単純なケースで話を進めましたが,解析条件を組み合わせることで様々な条件下での車券購入シミュレーションができます。例えば…

  • 機械学習の予測モデルを別のものに変えたり,組み合わせたり
  • 集計対象レースを限定したり(並びや級班・グレード等)
  • 車券の買い目パターンを自力-自力や別ラインワンツーとしたり
  • 車券の種類を3連複やワイドに変えてみたり

…などなど,解析条件の組み合わせは盛りだくさんで結構おもしろいものが見つかるものです。

おわり